短期大学評価基準について

Q.3  第4 評価期間(令和7(2025)年度~令和13(2031)年度)の開始に合わせて短期大学評価基準が改定されましたが、主な改定内容を教えてください。
A.3  短期大学設置基準等の改正(令和4年10月1日施行)及び私立学校法の改正(令和7年4月1日施行)等を踏まえて、短期大学評価基準の見直しを行いました。内容に大きな変更はありませんが、見直しに当たっては、①評価基準としていた区分の下にある観点を、区分ごとの点検・評価を行う際の具体的な着眼点としての「参考」とし、合わせて、②基準、テーマ及び区分の構成等を見直しました。
 ①については、学校法人又は短期大学の関係法令の改正が行われた場合、関連する区分の点検・評価を行う際の参考として、点検・評価の観点として速やかに示すことができ、その対応についての確認が可能となるようにしました。
 ②については、4基準・12テーマ・33区分を4基準・16テーマ・39区分としました。

  • 基準Ⅰは、短期大学の役割の一つである「社会貢献」を区分からテーマとしました。また、区分Ⅰ-B-3「(三つの方針)を一体的に策定し、公表している」において、それぞれの方針が明確に示され、定期的に点検が行われているかを確認することにしています。
  • 基準Ⅱは、学習成果についての定義を明示し、各短期大学における学習成果の獲得状況の評価や公表への取組みについての区分を設けました。また、入学者受入れの方針に従って実施される「入学者選抜」をテーマとしました。
  • 基準Ⅲは、旧基準の区分Ⅱ-B-1「学習成果の獲得に向けて教育資源を有効に活用している」を含めて整理し、教職員の役割や責任を規定しているかについての区分を設けました。
  • 基準Ⅳは、基準名を「短期大学運営とガバナンス」とし、短期大学は高い公共性や社会的責任を有しており説明責任が求められることから、「情報公表」を区分からテーマとしました。

 

Q.4  自己点検・評価において「内部質保証ルーブリック」はどのように活用するのですか。
A.4  「内部質保証ルーブリック」(「ルーブリック」)は、基準Ⅰのテーマ・区分(テーマCは除く)を、「各評価項目」と「その達成度を示すレベル(Ⅰ~Ⅳ)」からなるマトリックスで示したものです。評価校は認証評価を受ける際、内部質保証の取組状況について、「ルーブリック」を用いて自己評価を行ってください。(「ルーブリック」自体の提出は不要です。)
 自己評価においては、提出する自己点検・評価報告書を基に該当する項目の到達度(レベル)を判定していきますが、例えば、項目2のLevel 1「□ 学習成果(Student Learning Outcomes)を定めている」については、「学習成果を○○○○○と定めている」等の具体的な内容を報告書に示してはじめてチェックボックスにチェックが入ります。チェック後は、この自己評価により内部質保証の取組状況を再認識するとともに、レベルアップを目指した取組みに活用してください。
 なお、「ルーブリック」の取扱い等に関する資料を本協会ウェブサイト(「認証評価関係様式」)に掲載していますので参考にしてください。
Q.5  「学習成果の可視化」とは、具体的にどのようなものを指していますか。
A.5  学習成果とは、学生が獲得すべきこと(何ができるようになるか)を定義し学内外に表明したものであり、実際に学生が一定の学習期間終了時に成果として身に付けたもの(データ)として測定可能でなければなりません。そして、測定可能になった学習成果を短期大学自身の基準によって判定することが査定(アセスメント)という行為であり、この査定の中で、学習成果が獲得されたこと、あるいは向上していることを測定結果として示すことが「学習成果の可視化」ということになります。
 学習成果の可視化の方法、現状等について、短期大学評価基準では「基準Ⅱ 教育課程と学生支援」のテーマ「A教育課程」の区分「基準Ⅱ-B-3 学習成果の獲得状況を量的・質的データを用いて測定する仕組みをもっている」において点検・評価します。
 量的データとは定量的なデータ、つまり数値データであり、例えば単位の認定状況(学期・学年ごとの成績評価)や2(又は3)年間の学習成果に基づく学位授与と卒業認定状況等をいいます。(GPA分布、単位修得率、学位取得率、資格試験や国家試験の合格率、ルーブリック分布等。)
 他方、質的データとは定性的データであり、短期大学が定義し学内外に表明した学習成果の事柄についての学生自身や第三者による主観的な意見等(数値化できないもの)であり、学生調査や学生による自己評価、同窓生・雇用者への聞き取り調査での意見等をいいます。(学生の業績の集積(ポートフォリオ)、在学生の授業アンケートでの意見や卒業生又は卒業生の進路・就職先の人事関係者による評価(意見)等。)
 また、定義した学習成果が人間形成に関わる汎用的能力の涵養を表明している場合、その評価の方法には、プレゼンテーションやディスカッションによる口頭発表や実技等の評価も含まれます。さらに、学期を経て学生が「成長した度合い」について統計データを用いて測るような評価、例えば、本協会が実施している「短期大学生調査(Tandaiseichosa)」や「短期大学卒業生調査」の分析結果から得られる情報も、学習成果の評価として有効な方法と考えます。
 また、関連して、区分「基準Ⅱ-B-4 学習成果の獲得状況の公表に努めている」を新たに設定しました。学習成果の獲得状況を可視化する根拠(仕組み)を明確に示し、それに基づき可視化された学習成果の獲得状況の公表に積極的に取り組むことが期待されます。
Q.6  短期大学評価基準の区分「基準II-A-3」及び「基準II-A-4」の点検・評価の観点には「教養教育/職業教育の効果を測定・評価し、改善に取り組んでいる」とあり、『評価校マニュアル』では、備付資料として「幅広く深い教養を培う教養教育の成果に関する資料」、「職業又は実際生活に必要な能力を育成する職業教育の成果に関する資料を準備することとなっています。
 教養教育、職業教育はどのように測定・評価し、それぞれの成果についてどのような備付資料を準備することが想定されているのでしょうか。
A.6

 

 「教養教育/職業教育の効果の測定・評価」の実施プロセスは、短期大学が自ら設定する学習成果(一定の学習期間終了時に、身に付けている知識・技能・能力・理解・態度・信念・意見・価値・コミュニケーション能力等)に関する査定のプロセスと同じと考えます。
 したがって、教養教育、職業教育に関する学習成果について「教育課程レベル」、「科目レベル」での獲得状況を定期的(授業回、学期、学年進行)に査定し、課題の発見、改善というPDCAサイクルを実践して、その中で活用している量的・質的データ等を資料として準備してください。(量的・質的データについては上記「A.5」及び区分「基準Ⅱ- B-4」の例示を参照してください。)
 また、専門分野への就職率は職業教育の効果を測定・評価する方法の1つですが、就職先からの評価なども含めた測定・評価が必要と考えます。
Q.7  短期大学評価基準の区分「基準Ⅰ-B-3」の点検・評価の観点(2)-②には「卒業認定・学位授与の方針は、社会的・国際的に通用性がある」とありますが、具体的にどの程度の内容があれば「国際的に通用するもの」と考えることができますか。
A.7  各短期大学が自らの建学の精神、教育理念・目標に基づき、学習成果及び卒業認定・学位授与の方針を明確に表明し、またその方針の下、学生が獲得すべき学習成果をどのように具現化し、かつ査定しているのか、という教育研究活動を具体的に示すことが、社会的・国際的な通用性につながると考えます。各短期大学が自らの教育について客観的に見直し、それを公表していくことが大切です。
Q.8  学習成果の汎用的な能力に関する客観的なスケール(尺度)は示し難く、また、その結果の妥当性、客観性を証明できるツール(測定方法等)の開発も大変難しいと思われます。認証評価において、このツールは未熟で不十分なため「否」とする、といった判断がなされることはありますか。
A.8
 認証評価において重要なのは、学習に先立ってあらかじめ学習成果を明確化し、その獲得についての測定方法を開発し、測定結果の評価に基づく改善を行うこと、つまり、PDCAを含んだ内部質保証が機能しているかどうかであり、更なる向上・充実のための助言を行うことはあっても、測定方法の評価だけで合否判定を行うということはありません。
Q.9  中央教育審議会の答申(平成20年12月24日)「学士課程教育の構築に向けて」には「学習成果」とありますが、その後の答申等においては「学修成果」が用いられています。自己点検・評価に当たって表記の統一・使い分けなどが必要ですか。
A.9
 本協会においては、第2評価期間に向けた短期大学評価基準の改定(平成22年7月)に当たって、平成20年12月の中教審答申の内容を踏まえるとともに、当時、米国において行われていた“Student Learning Outcomes”を中心とした大学評価という考えも取り入れ、その和訳としての「学習成果」を評価基準において用いることとしました。
 本協会の短期大学評価基準等を記述する場合は「学習成果」を用い、それ以外は、本協会のいう「学習成果」として各短期大学が定める、例えば「学修成果」を用いていただいて結構です。なお、「学習成果」以外を用いる場合、本協会の「学習成果」と同趣旨であるかどうかの確認、点検も必ず行ってください。
Q.10  短期大学評価基準の区分「基準Ⅱ-A-2」の点検・評価の観点(1)-③には「単位の実質化を図り、卒業の要件として学生が修得すべき単位数について、年間又は学期において履修できる単位数の上限設定等を行っている」とありますが、このいわゆる「CAP制」を定めるに当たって留意すべき点はありますか。
A.10
 本協会としては、CAP制に関する努力義務規定が平成11(1999)年に短期大学設置基準に盛り込まれていること、また、単位制度の実質化が求められていることなどを踏まえ、CAP制については、学則に定めるか、または学則(「履修の方法」や「単位の算定」等の条項)に当該事項の具体の方法や必要な事項については別に定める旨の委任規定を設け、規程化することを求めています。
 この方針は、「学則」が短期大学の教学上の最高法規であり、また学則改正の際には当該短期大学を設置する学校法人の最高議決機関である理事会で審議されることから、CAP制の規定(程)化においても、そのようなプロセスを踏まえることが必要であるとする考えに基づいています。

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